仏像を巡る

営業OLが行く仏像巡り

#10 鎌倉・長谷寺とロマンの十一面観音像

まだまだ梅雨景色の中、かねてより行きたかった鎌倉に行ってきました!

 

都内から車で2時間ほど。最初に訪れたのは"長谷観音"で有名な観光の名所、長谷寺です。

f:id:Jart:20190810232517j:image

長谷寺といえば、その巨大な観音さまや、あじさい、良縁地蔵と、見どころ満載のお寺。
あいにくの雨模様でしたが、せっかくこの時期に来たので、あじさい路の整理券ももらい(10寺半ごろに行き、20分待ち)、広大な敷地を散策します。

 

ご本尊 十一面観音菩薩立像

観音堂に安置されているのは、ご本尊の十一面観音菩薩像。
像高9.18mという巨大な観音さまで、薄暗い堂内でひときわ輝く姿は、まさに神々しく(仏さまに使う言葉ではない?汗)、圧巻の一言。周りを彩る光背の梵字イカします。

 

ところで、絶賛東京国立博物館にお越しになっている、奈良・長谷寺の十一面観音像。同名の2寺、本尊の巨大観音。何か深い縁があるのでしょうか?
(「奈良大和四寺のみほとけ」の記事はこちら)

 

長谷寺の寺伝によると、721年に奈良長谷寺の開山とされる、徳道上人の思いから、稽文会(けいもんえ)と稽主勲(けいしゅくん)の2人の仏師が、楠の霊木から2体の巨大本尊を作ったと言われています。

f:id:Jart:20190810231418p:image

この両像は、1体を奈良長谷寺に、もう1体は縁ある土地で衆生済度(生きとし生けるものを迷いや苦しみから救い導くこと)の願いを込め、開眼供養を行った行基上人によって海に投げ込まれたとされています。

f:id:Jart:20190810231511j:image

その後、海に投げ込まれたもう1体の巨大な十一面観音像は、736年に現在の横須賀市長井の海岸に打ち上げられ、その旨を聞いた奈良長谷寺の開基、藤原房前により、鎌倉長谷寺に移され、開創の礎となったとされています。

 

つまり、鎌倉長谷寺の観音さまは約470㌖の道のりを航海し、たどり着いた強靭な仏さまということですね…!(すごい!)

 

 

良縁地蔵

f:id:Jart:20190810231618j:image

長谷寺観光の目的のひとつ、良縁地蔵。境内に3箇所設置されており、3箇所とも見つけると、良縁に恵まれるとか…?
こちらは観音堂に向かう石畳の道中にひっそりといらっしゃいました。(写真を撮ってる人がいなかったら見過ごしていた…!)

この石像は宮城県の石神彫刻工房で作られたもの。3箇所それぞれの地蔵グループにはお名前がつけられていて、こちらの良縁地蔵は石んこ3人地蔵うたごえと言うそう。(かわいい〜)

 

あじさい路に入っていくと次に出会った良縁地蔵。

f:id:Jart:20190810231740j:image

f:id:Jart:20190810231744j:image

紫陽花に埋もれる3人。(左目は雨で負傷した模様)

f:id:Jart:20190810231855j:image

そして隣にはハートの石が。かわいい演出に惚れ惚れします。こちらは、石んこ地蔵3人家族

 

さらに進んでいき、出口に近づく竹の中。いろんな角度で合掌。(かわいすぎますね!)

f:id:Jart:20190810232005j:image

こちらは、石んこ地蔵3人ひだまり。(再び雨で目の上を負傷した模様)

 

ということで、無事3箇所見つけることができてひと安心。 雨のせいか傷だらけでしたが、水も滴るなんとやら、ということで…

 

 

御朱印はこちら

f:id:Jart:20190810232124j:image

御朱印は、ご本尊である十一面観音さまのものか、大黒天さんのものと選べます。私はやっぱりご本尊!

(ちなみに、大悲殿というのは、観音さまがいる場所のことを指します。)

御朱印帳を入り口で預け、あじさい路を堪能した帰り際には問題なく受け取れました!

 

 

おいしい鎌倉

長谷寺を後にし、小脇に入ると、KANNON COFFEE kamakuraというカフェがあります。
なんといっても、鎌倉ならでは。大仏クッキーがトッピングされたクレープがかわいい!

f:id:Jart:20190810232220j:image

私は甘いものはあまり食べないので、クレープもこれが初だったのですが、そこまでクリームの甘さもしつこくなく、ベリーの甘酸っぱさがいいアクセントで、おいしくいただけました!
鎌倉の思い出にイチオシのお店です!

 

KANNON COFFEE kamakura
営業時間:10:00〜18:00
定休日 :無休
住所 :神奈川県鎌倉市長谷3-10-29
最寄り駅:江ノ島電鉄長谷駅」徒歩約3分

 

そして、お昼もそのまま鎌倉で。鎌倉ならでは、生しらすを掲げたお店が立ち並ぶ中、カレーをいただきました。(なんでやねん)

f:id:Jart:20190810232729j:image

長谷寺から鎌倉駅方面(由比ヶ浜駅方面)に少し歩いた場所にあるカレー屋さん「woof curry」
シンプルでお洒落な店内で、私はチキンカレー(¥900)を注文。
欧風カレーならではの、ほろ苦いコクと、ほろほろのチキンは絶妙です!
せっかくの鎌倉。生しらすを食べるもよし、でもでもカレーもおいしいです!
ぜひぜひ行ってみてください。

 

woof curry
営業時間:11:00〜21:00
定休日 :水曜日
住所 :神奈川県鎌倉市長谷2-10-39
最寄り駅:江ノ島電鉄長谷駅」徒歩約5分

 

そんな感じで長谷寺を満喫。
本尊の歴史は趣深く、これまたロマン感じる逸話が胸に響きます。
ぜひ、そんな歴史を胸に、長谷観音さまに会いに行ってみてください!

 

合掌

 

 

 

 

 

 

#9 奈良の至宝「奈良大和四寺のみほとけ」

東京国立博物館で開催されている企画展「奈良大和四寺のみほとけ」に行ってきました。

f:id:Jart:20190810230155j:image

この企画展は奈良を代表する四つの寺院、長谷寺室生寺、岡寺、安倍文殊院から、彫刻をはじめとする文化財がお越しになっています。

 

 

長谷寺("長谷寺式十一面観音像"について)

入って正面には長谷寺の十一面観音菩薩立像(銅像/鎌倉時代
銅像らしく繊細な作りで、向かって左の天衣(てんね)は台座下に垂れ、右は後ろにくるりと翻るアシンメトリーなつくりが特徴的。

 

同じく、長谷寺の十一面観音菩薩立像(木造/平安時代)は、向かって左手には錫杖、右手に水瓶を持ち、方形の岩座に立つ姿。こちらは本尊の十一面観音菩薩立像を彷彿とさせます。

通常、十一面観音像といえば、右手に水瓶を持ち、左手は何も持たず、蓮華座に立つ姿が一般的ですよね。

こうした左手に錫杖を持ち、方形の岩座に立つ姿は長谷寺式十一面観音像と呼ばれ、独特な作りであることを示します。

この"長谷寺式"は、何も奈良の長谷寺だけを示すものではありません。

鎌倉の長谷寺のご本尊である十一面観音像や、茨城の新長谷寺、西麻布の長谷寺(ちょうこくじ)、奈良の影現寺なども、長谷寺式を用いた造形が成されており、深い関係性が伺えます。

 

 

岡寺(涅槃像の時代変化)

岡寺からの出展のイチオシは何と言っても釈迦涅槃像(木造/彩色/鎌倉時代/13世紀)

ちょうど人ほどの大きさ。涅槃像も、時代によって造形の変化が伺え、平安時代鎌倉時代で表現の変化を迎えます。

 

平安時代の涅槃像は、両手を体に平行にした造形が施されています。
実際に、平安時代の作品で、涅槃の姿が表現されている国宝“絹本著色(けんぽんちゃくしょく)仏涅槃図”(金剛峯寺/平安時代)でも、両手ともに、平行に体に沿う形で描かれています。
(金剛峯寺の“絹本著色仏涅槃図”は、現存する日本最古の涅槃図と言われています)

 

一方で、鎌倉時代以後は、肘をつくなど、右手で頭を支えるような体制が流行したとされています。この岡寺の涅槃像もまさにその様式を表したもので、近年目にする涅槃像では、この鎌倉時代以後の姿が一般的になっていると言えるでしょう。

 

f:id:Jart:20190810225926j:image

 

ちなみに、法隆寺五重塔内の塑像の涅槃像は、お弟子さまに手を差し伸べるようなお姿。
こちらは、711年(奈良時代)の作品と言われており、時代と造形にはまだまだ奥の深さを感じています。(詳しくはまた別の機会に!)

 

 

室生寺(板光背は見どころです)

メインに並ぶのは、室生寺地蔵菩薩立像と、十一面観音菩薩立像。

ともに、木造、彩色、平安時代の作品で、光背が板光背というもので作られています。

 

板光背とは、1枚、もしくは複数枚の木の板に、絵の具や墨などの模様を描きいれることで作られる光背のことで、平安時代(前期)の奈良地区に多い表現技法とされています。

 

両像を見比べてみると、十一面観音の方が、地蔵菩薩と比べて書き込みは少ないものの、彩色をみるとともに鮮やか。十一面観音のお顔の造形は、頬のふっくらした感じや、ほのかに赤く彩られる唇が女性的な魅力を感じました。

 


安倍文殊院からは、国宝の文殊菩薩像内納入品が出展。

 

奈良は未だ東大寺興福寺にしか行ったことがなく、まだまだ未体験地区。
博物館で見るのももちろんいいですが、やっぱり歴史残るその土地で見たいもの。

 

今年の目標は奈良の寺院巡りも追加させようっと!

 

#8 湖北の展示 びわ湖KANNON HOUSEから

 だんだん梅雨らしい空になってきましたね。

そんな雨の中、ずーっと気になっていた、びわ湖長浜KANNON HOUSEに行ってきました!

f:id:Jart:20190624012304j:image

上野。京成上野駅から徒歩1分。地下鉄上野駅からは徒歩5分ほどに位置するKANNON HOUSE。

 

湖北・長浜の仏像が2〜3ヶ月のスパンで展示されていき、そしてなんと、お写真撮影もOK

まさに滋賀好き、仏像好きにはたまらない空間なのです。

 

いくつかブログにもしてきましたが、滋賀、湖北は、私にとっても特別な場所で、ここ数年は何度か足を運んでいます。

 

現在は、そんな湖北、長浜市野瀬町、大吉寺より、聖観音さまがお越しになっています。

f:id:Jart:20190624013128j:image

f:id:Jart:20190629214231j:image

f:id:Jart:20190629232712j:image
f:id:Jart:20190629232705j:image

少し前かがみのお姿。お顔は穏やかで、台座の色味が鮮やかで美しい。

 

6/22に行われたギャラリートークには、大吉寺のご住職、吉瀬雄成住職と長浜市長浜城歴史博物館の秀平文忠館長もお越しになって、大吉寺や、野瀬地区のお話を1時間かけてじっくりしていただきました。

 

現在お越しになっている聖観音は、普段は厨子の中に入っており、御本尊の御前立。

長浜市指定文化財に指定されており、鎌倉時代の木造作品で、像高67.1cmの彫眼の観音さま。

 

御本尊は愛知川から流出した浮木とされており、粟津の天吉寺に安置されましたが、洪水で流されてしまい、結果琵琶湖をほぼ一周して今の大吉寺に再び安置されることとなったと言います。

この大吉寺の寺名の由来は、元の天吉寺の"天"が、洪水により寺額から"一"の字が消えてしまい、大吉寺となったという、嘘のような本当のようなお話が由来だそう

御本尊自体は60年に1度開帳される秘仏で、前回は平成元年に開帳したとのことなので、次は令和30年…(ながーい!泣)

 

本堂は標高350mほどに位置する大吉寺。

せっかくの機会なので、ぜひぜひKANNON HOUSEまで聖観音像を観に行ってみてください。

 

ちなみに、8月下旬からは、余呉町上丹生の源昌寺から聖観音坐像がいらっしゃるとか。余呉湖を臨む静閑な余呉地域は、本当にステキな町で、今から待ち遠しいです…!

 

 

#7 湖北で観る「親鸞と真宗文化」

長浜市長浜城歴史博物館で4/27〜5/26まで開催されていた「親鸞真宗文化」に行ってきました。

f:id:Jart:20190602192617j:image

滋賀県長浜市余呉町にある残景寺というお寺を訪れた際に、本尊の阿弥陀如来さまがご不在で、長浜城歴史博物館にいると伺い、せっかくなので行ってきました!


滋賀といえば、「観音の里」と称される高月町を中心に、仏教信仰にゆかりある都市で、実は京都や奈良よりもお寺の数は多いのが滋賀なんです。

f:id:Jart:20190602193041j:image

f:id:Jart:20190602192938j:image

残景寺は、そんな滋賀県長浜市余呉町にある真宗大谷派のお寺。
綺麗な流線形の屋根瓦と、中には襖や欄間に天女が描かれており、余呉湖の羽衣伝説を彷彿とさせます。
羽衣伝説自体は、各地でいくつか説話として伝わるものの、風土記逸文から見られるこの余呉の羽衣伝説が最も古いと言われているそうです。


今回の企画展「親鸞真宗文化」は長浜別院大通寺、長浜城歴史博物館、曳山博物館の三会場開催だったわけですが、残念ながら私が行けたのは長浜城歴史博物館だけ(諸事情で時間に余裕がなく…無念…)


親鸞に纏わる絵巻物、書物、仏像などが2階の1フロアに展示され、今回仏像の展示は、阿弥陀寺阿弥陀如来と、残景寺の阿弥陀如来の2軀。(どちらも立像)

 

阿弥陀如来立像(阿弥陀寺/平安時代

柔和な顔つきなど、平安時代後期の特徴表す。平安時代後期は末法の世と考えられ、阿弥陀如来の極楽浄土への往生に大きな関心が寄せられ、阿弥陀像の造物が流行する。

ツヤ感のある表面で、白毫は橙色。綺麗な赤色の肉髻珠が目立ちます。

手足は比較的小ぶりで、衲衣の滑らかな表現が特徴的。手は無施畏与願印で、台座には獅子が3体正面を向き、阿弥陀仏を守護するように見えます。

 

阿弥陀如来立像(残景寺/江戸時代)

江戸時代の湖北における名刹の一つである

お寺に伺った際にご住職がおっしゃっていた話なのですが、仏像本来の色味から、表面が黒くなっているのは、余呉の人々が信仰心が厚く、参拝に訪れるとお焼香を焚き、その煙の灰で黒くなっていったのではないか、とのことでした。

阿弥陀寺阿弥陀如来像よりつり上がった目が特徴的で、肩から流れる一般的な衲衣の表現ですが、肩の衲衣の上から装飾が施されているのが特徴的でした。漆箔が錆びたのか、ところどころ赤みがかっています。

台座の蓮のスジが綺麗に描かれており、台座自体も綺麗な金色。阿弥陀寺阿弥陀如来像と同様に獅子が守るように鎮座しています。

 

今回の出展に伴い、寺内の本尊が絵像になっているのはとてもめずらしく、ご住職自身もはじめてとおっしゃっていたので、寺外に行かれるのはとても貴重な機会だったのでしょう・・・!

 

長浜城を後にし、お昼は近くの「善光」という食事処へ。

f:id:Jart:20190602230904j:image

f:id:Jart:20190602230900j:image

長浜の郷土料理として有名な「焼き鯖そうめん」もあります!私は味噌カツ定食を頼みました(笑)特製ソースでおいしくいただき、滋賀の旅は終了です。

 

7月には彦根に行く予定を計画中!滋賀は歴史が詰まった趣深い街なので大好きなのです。

 

合掌。

 

 

#6 因幡国からやってきた「因幡堂 平等寺」

 

"京に飛んできたお薬師さん"

というなんともキャッチーなフレーズとともに、龍谷ミュージアムで開催されている企画展「因幡平等寺」に行ってきました!

f:id:Jart:20190507154520j:image

龍谷ミュージアムに来たのは初めてで新鮮な感覚。エレベーターで3階に上がると企画展が、そして2階にシリーズ展が開催されています。

 

龍谷ミュージアムは、トーハクのように、何室にも分かれて展示されているわけではなく、1フロアが突き抜けで展示が完結していて、個人的にはこじんまりしていて好きな博物館。

今回の展示で私が最も美しいと思ったのは下記の木造如意輪観音坐像。13世紀の鎌倉時代の作品で、表面は金泥塗り。物憂げな表情は一層美しさを際立たせます。

f:id:Jart:20190514005128j:image

よく右手に宝珠を持っている如意輪観音像が多いですが、どこかに行っちゃったのか、もともと作られていなかったのか、どっちだろう…何かを持っていたような手つきなのは明らかですよね。

もう一方の如意輪観音坐像は13〜14世紀、鎌倉時代の作品。上記とは対照的に装飾品や持物が少なく、法輪のみの針葉樹の寄木造りで、見比べてみても、こちらの如意輪観音像の方が煌びやかさが目立ちます。

でもこうやって、如意輪観音像は何百年も何を考えているんだろう…ロマンを感じますね。

 

f:id:Jart:20190514010913j:image

木造毘沙門天立像は13世紀、鎌倉時代の作品。玉眼の目が輝き、一際イケメン…!まるで漫画やアニメから出てきたかのような美形さ…!

この兜も伊達政宗のような、イケメン戦国武将を想起させますね。

頭頂に兜で潰れた髻を浅く彫り出し、別製の兜をかぶせる。この仕様は、鎌倉時代にとくに隆起した生身信仰を反映した表現の一つとされる。

これが鎌倉時代に作られたのか…!と思うほど精巧でイケメンで惚れ惚れします。これはオススメの一躯。

 

シリーズ展はアジアの仏教と称し、各国の仏像が展示されていて、特にガンダーラの仏像なんかは、アジアンな感じというより西洋彫刻のような面持ち。

そのほか、タイやミャンマーカンボジア、おなじみ中国の仏像も集結していました。

国によって、仏像の顔つきも違うので、各国から集められた仏像が一挙に展示されているというのは、なかなか発見も多いです。

 

龍谷ミュージアムは、京都駅からそこそこまあまあ歩くので、元気なときに向かうのがおススメです。(笑)

 

ということで、長い1日になりましたが、これでもかってくらいの仏像充な1日となった2019年ゴールデンウイーク。

目まぐるしい毎日がすでに始まっているわけですが、皆さま体調にはお気をつけて。

 

 

#5 10連休は京都へ!非公開文化財特別公開

 

5月になりました。

GW帰省に伴い、行くしかないと腰を上げ、行ってきました "京都 非公開文化財の特別公開"

f:id:Jart:20190506230412j:image

 

★長くなるので、せっかちな方や長いわ!とツッコミたくなっちゃう方は、とりあえず赤字のとこだけでも読んで帰っていただけるとうれしいです。

 

21度の京都。茹だる暑さとはまさにこんなときに使うのが正しいはず。

当初予定していたルートは、

随心院→聖護院/積善院→長楽寺→龍谷ミュージアム 

だったものの、長楽寺が長蛇の列とSNSで見て、この1日で果たして回れるのか不安になり、急遽予定を変更。

長楽寺は諦め、京都から随心院に行く道すがら、山科駅で乗り継ぎを行うので、山科駅で降り安祥寺へ。

山科駅から徒歩10分ほどですが、これがまた上り坂に暑さがダブルアタックで着いた時にはすでに汗だく…。

 

f:id:Jart:20190504114807j:image

f:id:Jart:20190507221319j:image

藤田瞬央住職が観音堂(本堂)の大きな厨子の扉を開けてくれた。本尊の十一面観音立像(国重要文化財)が姿を現した。高さ252㌢に及ぶ巨像だが、均整のとれた伸びやかな姿が凛として美しい。藤田さんは「15年ほど前に専門家の調査で奈良時代にさかのぼるとみられる貴重な一木彫像と判明しました」と教えてくれた。

写真・文:朝日新聞の別刷り特集より

本尊の十一面観音立像は初公開。なんと普段はお寺自体も非公開だそうで、本当に拝観できて良かった…!としみじみ感じています。

観音堂に入って、両脇には向かって右に持国天多聞天。左に広目天増長天が構え、正面の十一面観音様は、左手に水上を持っており、白毫の水晶が大きく透き通り目を引かれます。

 

f:id:Jart:20190504125347j:image

ご朱印は1時間ほど並びましたが、(そりゃ並ぶよね…)無事頂き、続いて随心院へ。

 

山科駅から随心院の最寄駅、小野までは約6分。そこから歩いて5〜8分ほどで着きます。右脇に入っていくので一瞬通り過ぎましたが、無事着きました。

f:id:Jart:20190504133924j:image

小野小町に所縁のある随心院

f:id:Jart:20190504135213j:image

ご本尊の如意輪観音坐像を含め、寝殿造の堂内には一列にずらりと10体の仏像が並んでいました。

正面向かって右から、比較的小ぶりな釈迦如来と脇侍に文殊菩薩普賢菩薩が並びます。

普賢菩薩の方が頭が大きくバランスが悪いのにどこかかわいらしいのが特徴的。

それぞれ作風が異なるのは、時代が異なるからだそう。

続いて薬師如来、金剛薩埵菩薩(快慶作)、如意輪観音菩薩、阿弥陀如来不動明王弘法大師、仁海僧正と並びます。

なんと言っても、本尊である如意輪観音さまの美しいことと言ったら、言葉に表せないほど。玉眼の輝きがちらりと光り、神秘的なものを感じます。

普段は秘仏なので開帳していませんが、ちょくちょく開帳されているみたいなので、タイミングをよく見計らって参拝に行くことをお勧めします!

(本当に美しいので是非!あと、駅からそんなに遠くない!)

 

ちなみに、ご朱印2種はこんな感じ。

f:id:Jart:20190504140804j:image

ご朱印は堂内を回っている間に書いていただけたので待ち時間はありませんでした。

 

続いて最後の聖護院と積善院。神宮丸太町駅から10分〜15分ほど歩きます。3寺の中で1番歩いた気がする…。でも坂道じゃないだけ救われた!

f:id:Jart:20190504151944j:image

向かって右から室町時代不動明王鎌倉時代不動明王役行者の両脇には平成に制作された彩色鮮やかな孔雀明王と、三宝荒神が並び、次いで蔵王権現(ざおうごんげん)の手前に、阿弥陀如来千手観音菩薩薬師如来が並びに、最後に再び江戸時代に制作されたとされる不動明王が構えます。

 

また、本堂の不動堂には、平安時代に制作されたとされる不動明王がいらっしゃって、制咜迦童子矜羯羅童子を脇侍に迎えます。

個人的に制咜迦童子矜羯羅童子をしたがえる不動明王の姿が好きなので、1番ビビビッときたのはこの不動明王

 

f:id:Jart:20190504152543j:image

山伏として有名なお寺なだけに、ご朱印が法螺貝!ステキですね!

 

お隣の積善院にも行き、大大大満足&仏像充すぎる1日で、いただいたご朱印がこちら。

f:id:Jart:20190507004158j:image

 

この後、龍谷ミュージアムの企画展「因幡平等寺」にも行ってきましたが、これは次の記事で!

 

そういえば、あとから気づいたのですが、4年前のちょうどこの日も、1人で高野山に行ってました。

f:id:Jart:20190507232005j:image

f:id:Jart:20190506225133j:image

ちょうど開創1200年の年で。5/4は何か縁のある日なのかも…?

そのときも帰りに食べたなあ、と大阪駅マルシェの博多一幸舎に行ってきました。

朝から何も食べていなかったので、早歩きさながら、小走りで向かい、ラーメンと明太ごはん。

f:id:Jart:20190504192728j:image

 

おいしい!そして本当に疲れた!でも充実した1日でした。✌︎

 

 

 

#4 空海が込めた思いは現代へ。特別展 国宝「東寺」空海と仏像曼荼羅

4月です。
上野・東京国立博物館で開催されている
特別展 国宝「東寺」-空海と仏像曼荼羅-
に行ってまいりました!

お花見シーズンもあり、賑わう東京国立博物館で、第1章〜4章まで繰り広げられる「東寺」展。

1章〜2章は後七日御修法の再現や密教法具、曼荼羅図を含む絵図が多く、3章に突入すると、迎え入れるのが「兜跋毘沙門天立像」

平安京羅城門の前にいたと言われているこの兜跋毘沙門天は中国唐時代に作られたものと言い伝えられており、
日本式な、丸顔のふっくらマッチョ仕様と比べて、腰の位置の高いスレンダー小顔な様相が、まさに中国式といった印象でした。

スタイリッシュな中国仏像もいいけど、個人的には、ぼてっとした日本仏像が好きなのは見慣れてるからかも…?

第4章に入ると、東寺の立体曼荼羅が一室にずらっと並びます。今回は21体中、なんと15体が参戦!

何と言っても私の心を揺さぶるのは、降三世明王


醍醐寺展の時に観てから好きな降三世明王。目を引かれたのは、踏みつけられているのが邪鬼ではなく、人だから。
正体は、大自在天と妃の鳥摩です。
(夫婦で踏みつけられてるというのだから、これまたなんてロマンス)

東京国立博物館 - 1089ブログ
このトーハクのブログが最強にハートフルで、まだ東寺展行ってない人は、このブログを読んで、じっくり降三世明王を見てほしい…!

さらに注目していただきたいのは、像の足元です。明王はインドの神であるシヴァ神(大自在王)と妃のウマ(鳥摩)を踏んでいますが、お寺では高い壇に置かれているので、2人の顔は見ることができません。また、明王の足にそっと添えられたウマの、ふっくらとした左手は私のお気に入りで、隠れた見どころです。

私はこのブログを読んでから2回目の東寺展に臨んだのですが、本当にふっくらとした上品な手が添えられていて、この表現の背景を想像しただけでご飯が進みます…(うっとり)

立体曼荼羅の一員である降三世明王立像は、4つの顔を持ちますが、1つは後頭部についているのでお寺では見ることができません。じっくり見ていただきたいと思います。


ちなみに、後頭部はこんな感じ(笑)
光背に納まって、ひょっこりしてます。長時間スケッチするわけにもいかないので走り書き…w
ぜひ足を運んで後頭部も見てみてください!

そして、何と言っても、今回の目玉は、仏像界の貴公子・帝釈天



実際にお写真を撮ることができます。
帝釈天を自分のカメラに収めることができるなんて、なんて贅沢…
お顔も綺麗ですが、この足の指の反り具合なんか特にステキ…
あと1回ほど、会期中に訪れたいと思っているので、その時までに携帯を買い換え、一眼レフを持参して、臨みたいところ…!


ミュージアムシアターでは、「空海 祈りの形」と称して、
東寺講堂内を体験できる映像コンテンツが楽しめます。
ハッシュタグとともにSNSに投稿すると、ステッカーももらえるので、是非是非感動を共有してみてください。
(VR撮影なので、一人称視点で、三半規管最弱の私は若干酔いました。汗)
私はステッカーももらえてホクホク。

という感じで、もりもり盛りだくさんの東京国立博物館「東寺」展。会期はまだまだ6/2まであるので、是非是非行ってみてください!